代表取締役の出向について
代表取締役が他の企業へと出向できるのかという質問をされる方がいらっしゃいますが、これは不可能であると言えるでしょう。
出向とは従業員が他の会社で業務を遂行することを指すのですが、代表取締役は従業員ではなく経営者となるので、出向にはならないというわけです。
出向に関しては法律で定められているというわけではありませんが、代表取締役の出向は不能な契約と判断されるので、無効となります。
経営者が他の会社で働くということが不可能であることは、お分かり頂けると思います。
しかし、技術顧問契約を結べば可能です。
技術顧問契約は出向であるとは言えませんが、費用の条件を盛り込んで他の企業に指導をすることは可能となっております。
このように、代表取締役が他社へと出向することはできないのです。
出向して代表取締役になった場合について
在籍出向や転籍出向によって、子会社の代表取締役となる方はいらっしゃると思います。
この際に、債務超過の子会社へ代表取締役として出向させられる可能性がある場合は、その出向を断ることは可能です。
在籍出向は、今の会社の就業規則に出向についての詳細が記載されているのであれば、断るのは難しいと言えます。
在籍出向は包括的な同意があったと見なされているので、それを断ることで懲戒処分になる方もいらっしゃるのです。
しかし、転籍出向であれば、断ることはできます。
とは言っても、子会社の代表取締役になったからといって、その債務を保証しなければならないわけではありません。
ここを勘違いしている方は多いのですが、法人が抱えている債務は法人のものであり、付随して個人の代表取締役が保証しているケースはあるものの、子会社であればその保証は親会社がしていると考えられます。
そのため、代表取締役のあなた自体が債務保証をしない限りは、会社の債務があなた自身に降りかかるということはないのです。
子会社へ代表取締役として出向させられることを断らなくても良いと思われますが、その債務をあなた自身が個人保証しなければならないのであれば、絶対に断るべきです。
代表取締役になれるからといって個人保証をすると、親会社がその子会社から手を引き、全ての債務があなたに降りかかってしまいます。
人生が大きく変わる可能性もあるので、個人保証には十分に気をつけてください。
転籍出向であれば、労働者には断る権利があるので、その旨をしっかりと伝える必要があります。